AI×データ時代で情報を「価値」に変える方法

AIとデータが社会のあらゆる領域に浸透していく中で、質の高い情報を効率的に活用する能力は、企業が競争力を維持し、成長していく上で重要な要素となっています。
前回より弊社代表取締役 加藤の視点から、「経営」という観点を通して、AIとデータの時代を勝ち抜くためのヒントをお聞きし、5つのテーマにわたりお届けしています。
今回はその第2弾として「AI×データ時代で情報を「価値」に変える方法」についての考えをお届けします。
目的意識を持った情報選別
現代は、まさに情報の洪水とも言える時代です。ニュース、SNS、レポートなど、あらゆる情報が私たちの周りに溢れかえっています。
しかし、その全てが有益とは限りません。そのため情報収集の際には、「明確な目的意識」に基づいた選別が最重要であると考えています。
情報とは、明確な目的を達成するため、あるいはその目的に近づくために役立つものに他なりません。例えば、「新しい顧客を獲得し、売上を向上させる」という目的ならば、その目的のために、「市場のトレンドやニーズ」や「効果的なマーケティング手法」などが”情報”になります。
裏を返せば、それ以外の情報はノイズと言えます。このノイズを排除することが情報収集には必要なのです。
情報の本質を見抜くためには、常に「何のためにその情報を必要としているのか?」という問いを自らに投げかける必要があります。そして、その目的に照らし合わせて”情報”とノイズを見分ける、選び取る力を磨くことが、情報を価値に変えるための第一歩と言えるでしょう。
独自データの分析と価値の創出
数ある情報の中で羅針盤となるのは、目的意識を持って選び抜かれた情報、そして何よりも自社が持つ独自のデータです。
各企業が事業活動を通じて独自に蓄積してきたデータは、AIを真に活用する上で不可欠です。
自社ならではの、正解ラベルがありAIに「何を学習すべきか」を明確に教えるデータである『教師ありデータ』(例えば、“過去の顧客問い合わせ履歴と成約の有無”や”マーケティング施策とその売上効果”など)には、他社が決して持ちえない独自の知見が深く眠っています。
これらのデータは、AIにとって最も信頼性の高い”教師”となり、自社データで学習したAIは、自社のビジネス特性や顧客ニーズに最適化されたソリューションを生み出す源泉となります。
また、正解ラベルがなくAIがデータから「自ら学ぶべきこと」を見つけ出す『教師なしデータ』も学習材料になります。例えば、顧客の属性情報や、自社の記事情報、顧客レビューのテキストデータといったデータは、パターンや傾向、特徴などを発見する手掛かりとなります。
事業を成長させるためには、この貴重な『教師ありデータ』と、新たな発見をもたらす可能性を秘めた『教師なしデータ』を組み合わせ、適切に分析・活用していくことが不可欠です。
これらのデータを組み合わせることは、より深く多角的な分析を可能にします。また、自社の価値を深ぼることにより、新たな価値創出に繋がっていくと確信しています。
データ統合・高度な分析環境構築の必要性
情報を事業成長に活かすには、質の高い大量のデータを統合し、実際に意思決定に繋がる環境を構築することが不可欠です。
現代社会では、官公庁の統計データから企業のWebサイトのアクセスログまで、多種多様な情報源から膨大なデータを入手できます。しかし、これらのデータを個別に管理・分析するだけでは、潜在的な価値を十分に引き出せません。データがサイロ化し、個別に分析されることで、全体像を見失い、複雑な要因が絡み合う課題の解決が困難になってしまうからです。
データ統合をすることで、散在する情報を連携させ、顧客行動の全体像の把握や、マーケティング施策の効果を多角的に評価することが可能になります。これにより、データに基づいた精度の高い意思決定を迅速に行うことができるようになるのです。
そして、こうしたデータを実際に事業成長を促す意思決定に繋げるには高度な分析環境が必要です。
ここでいう「高度な分析を実行できる環境」とは、単にデータを集めるだけでなく、AIが大量のデータを学習し、複雑なパターンや傾向を自動的に抽出、さらに将来を予測する能力を最大限に引き出せるように設計されたシステムを指します。具体的には、多様なデータソースの統合、目的に応じたデータマートの構築、高速なデータ処理、分析結果の可視化などが含まれます。
この環境が不可欠な理由は、より正確に、効率的に、そして属人性を排除してビジネスを成長させるには、AIの活用が必要だからです。AIがデータを学習し、その潜在的な価値を最大限に引き出すためには、それを可能にする環境の用意が求められるのです。
したがって、企業が情報を活用して持続的に成長するためには、目的を持った情報選別を行うこと、自社独自のデータ、質の担保されたデータなど大量のデータを統合し、高度な分析を実行できる環境を構築することが重要な戦略と言えるでしょう。